漆黒の詩 -シッコクノウタ- 1
「君たち。もっと目立ちたまえ!!!」
ずびしっと。
少年は少年少女4人を指さすと、彼らの前に仁王立ちになった。
「えーっと……?」
「なんのお話?」
「うーんと……」
「いったいどうしたの?」
少女が、2人。2人とも、金髪のカールで。
少年が、2人。2人とも、茶髪のくせっ毛で。
向かいに立った少年は、金色の髪を風になびかせた。
「それだ!! それ、それ、それ!! 君たちは特徴がなさ過ぎる!!」
「……って、言われても……」
「僕らはどうにも出来ないわけで」
少女の名は、ノエル。少年の名は、ローレル。
「そうそう。どうしようもないもん」
「むしろ、周りが濃すぎるんだと思うなぁ」
少女の名は、シュガー。少年の名は、フレーク。
「甘い! 甘すぎるよ、君たち! 君たちはもっと、目立つべきだ!!」
そして、もう一人の少年の名は、ティンブラと言った。
「最近、ノエル達変だと思わない?」
「えぇ。ノエルとローレル、それから、シュガーにフレークでしょ?」
「そうそう」
いつもの教室で。
珍しくキャンディと二人きりになって、
ブルーベリーは放課後の教室で、キャンディと二人、クラスメイトについて話していた。
「なんでも、ティンブラが絡んでるらしいわよ」
「……あなたのそれは、どこからの情報なの?」
「ふふふ。私の情報網は、カシスをも上回るのよ!」
キャンディはぐっと拳を握ると、座っていた椅子からふわりと飛び降りた。
ブルーベリーが書き終わった日誌をぱたりと閉じ、窓の外を眺める。
「知ってる? 私ね、こんな話も耳にしたのよ」
――お化けの話よ。
キャンディはブルーベリーに近寄ると、彼女の耳元でそっと呟いた。
くすくすと、彼女は笑う。
「……お化け?」
「そう。お化け」
ブルーベリーは微かに怪訝そうな顔を浮かべると、両手で日誌を抱えた。
今日は日直だ。日誌を、マドレーヌ先生の所に持って行かなければ。
けれども何故か、ブルーベリーの足はその場でぴたりと止まってしまった。
「それは……誰から?」
「誰だったかしら。多分、すれ違った時に聞いただけだと思うわ」
ブルーベリー、興味があるの?
キャンディは首を傾げて小さくそういうと、ブルーベリーをゆったりと見た。
「別に……ちょっと、気になっただけよ」
「ふぅん?」
「日誌……先生に、届けなくちゃ」
「そうね。付き合うわ」
キャンディは荷物を持ち、ブルーベリーより先に教室を出た。
その後に、ブルーベリーが続き、教室の鍵を閉める。
――カチャリ。
鍵がきちんと閉まったかまで確認すると、ブルーベリーは小さく頷いた。
「ねぇ、キャンディ」
「ん?」
「なんだか……少しだけ、嫌な予感がするわ」
「嫌な予感?」
キャンディはブルーベリーの隣を歩きながら、髪の毛を整えていた。
彼女の言葉を聞くなり、ブルーベリーが頷く。
「気のせいだといいんだけれど……」
ブルーベリーの言葉に、ただただ、キャンディは疑問符を浮かべるばかりだった。
「ってわけでー」
「すいません先生。どんなわけですか」
「というか、ティンブラ先生じゃないじゃーん」
「うるさいよ、ローレル」
ティンブラは積まれた箱に座って、4人を前にしていた。
一人一人を順番に見て、それから、にやりと笑う。
それはまるで、新しいイタズラを思いついた、子供のようだった。
「でも、ティンブラ……いったい、何をするの?」
「そうだよ。ローレル達はともかく、僕らまで……」
「君たちには、僕の考えた特訓を受けてもらいます!」
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