AIで普通の動画を3D動画に変換する
四四十六茶小説



セルヴィン




「―――」

必死に、どこかに行ってしまおうとする背中へと呼びかける。
(私の元から離れてしまうなんて、信じられなくて)

「―――」

その腕をとって引きとめようと、必死で走る。
(またひとりぼっちは、嫌だったから)

「―――」

でも彼は、その歩みを止めようとはしない。
(そして私は段々とその姿を見失う)

「………」

そしてあるとき、ふっと目の前から消えてしまう。
(取り残された私は、そのまま泣いている)



「…夢」

いつもそこで真っ黒い空間は消え、私は目を覚ます。
(それ以上見たくないと、まっしぐらに逃げ出すように)



「…そう、だよね。セルヴィンは…もう」

ここにはいない。その一言を、何故か口に出せなかった。
(認めたくない。目を閉じて耳を塞いだ)



カバリアから帰ってきて、何年か経った。
(時が何もかも押し流してくれる。そう信じていたのに)
あの時、雪山で怪我したときの傷跡は、未だに残っている。
(その傷跡が、私を『あの時』に繋ぎとめている)
忘れてしまいたい。そんな思いに焦がれて傷跡を隠す。
(忘れてしまいたくない。そんな思いに突き上げられて傷跡を見つめる)
それでも眠るたびに映る、ある光景。
(それは望まないもののはずなのに、心のどこかで求めてやまないもの)



「―――」

必死に、どこかに行ってしまおうとする背中へと呼びかける。
(私の元から離れてしまうなんて、信じられなくて)

「―――」

その腕をとって引きとめようと、必死で走る。
(またひとりぼっちは、嫌だったから)

「―――」

でも彼は、その歩みを止めようとはしない。
(そして私は段々とその姿を見失う)

「………」

そしてあるとき、ふっと目の前から消えてしまう。
(取り残された私は、そのまま泣いている)









やっと気付いて、顔を上げた。
(涙で揺れる先を見つめて)



辺りを見回して、何かを探す。
(耳を塞ぐ手をそっと下ろして)









「置いていくぞ」

差し出された手が、そこにあった。
(その手は、すぐ隣から伸びていた)









…電話が鳴っている。
(もう少しでその手を取れたのに)









「はい」

涙を拭いもせず、電話に出る。
(それだけが、『彼』と会えたことの証だったから)









『らしくもない。へたり込んで泣くなどと』









受話器を落とした。
(その声は、ひどく近く聞こえた)



窓を開けて、下を見下ろした。
(『彼』が、すぐ傍にいたような気がした)









fin…?

Back